路地裏ロータリー  虚像と僕とあと何か -1-

ろーたりーロータリー
方向を変える向きを変える
つまり
視点を変えろと言う事ですかお兄さん



路地裏ロータリー  虚像と僕とあと何か -1-


「二重人格というものは”脳の病気”や”心の病気”と思われがちですが、
 実はそうではないのです。これは人間の防衛本能の一種であり、
 身体と心を守ろうと辛い記憶や思い出を客観視、つまり自分ではない他人の
 記憶であると認識させることで、自らを正当化しているだけなのです。」


四角く薄い板の向こう側で
やけに気合いを入れた化粧をしてるお姉さんが言っていた。
そうですか。病気じゃなくて防衛ですか。
お姉さん、いい事を一つ教えてあげましょう。
貴方がどれだけカメラに向かって意見を述べたとしても、
世の中の人間という生き物は結局”偏見”を持っているんですよ。
”偏見”はそれはまるで金魚のフンみたいに付いて回るんですよ。
人生に、あるいは生きるということに。
まぁ発言の自由がなんとかって言いますからね、
別におっしゃる分には一向に構いませんけどね。

さてと。
支度しますか。

月曜日って憂鬱だよね、うん。
学校とか行きたくねぇーよ。
それになんだかすごくだるいデスシ。
……休むか。
ちらりと時計に目をやる。
電話するにはちと早いですな。
あーあー
どうしてこういう日に限ってお母様はお仕事なんでしょうねー。
お母様がいたら電話してくれるんですけどねー。
しょうがない。このまま寝ちゃえ。


以上が僕の回想である。
いや確かに昨日はだるくて休んだんだよ。
学校をさ。
軽く寝るつもりがもうぐっすりで。
お母様に起こされましたよそりゃ。
で、今日。
「はよー!お前昨日授業中ずーーっと寝てたけど、何?疲れてんの?」
え、いやいや昨日はお休んだよ僕。
サボりましたよ、サボタージュ
「はぁ?何言ってんのwwついに脳みそ腐ったかww」
おまっ、酷いなおい。
「まぁいいやw元気そうだし心配して損したわまじで俺の心返せ。」
お前の心なんて奪った覚えねぇーよ。
つかこっちからお断りだよ…!
「お、俺だってお前なんかに俺のピュアなハートはやんねーよばーか!」
ピュアなハートとかどの口が言ってんだ。
あぁ、この口か。むぎゅー。
「ひはいんでふけど。」
知らないんですけど。

キーンコーンカーンコーン

そんな他愛もないやり取りをしていると
聞きなれた鐘の音が廊下に響いた。
あ、教室入らないと。
…うーん。先生にあったらなんて言い訳しよう。
まさか先生まで「昨日寝てばっかりだったけど大丈夫か?」とか
言いだすんじゃないだろうな。
それはないか。うん、ないない。
瀬戸内はバカだからあんな意味の分からないことを言い出したんだ絶対そうだ。
あいつこそ脳みそ腐って「おぉー!昨日の寝ぼ助、今日は元気そうだな!」
え、あぁー…村岡先生おはようございます。
「ひぇんひぇーひゃふへてくだはひ。」
あ、ほっぺたつねったまんまだった。
悪かったな瀬戸内どうやらお前の頭は腐ってないみたいだぞ喜べ!
はにゃへ。」
「はっはっは!瀬戸内、お前今日そのまま授業受けろ!」
まじかよ先生。
僕はこいつの隣でずっとほっぺたつねってろってか。
それはご遠慮願います。
「っだあああもう!早く離せよくそう!!」
ほっぺた赤くなってらぁ。ははっ。
「笑うなこのや「おいうるさいぞお前ら、さっさと席に着けー!!」
村岡先生いつの間に教室に入ったんだ…。

そして自分の席に着くと、いつものように簡単な連絡を村岡先生が報告。
今日はみんなちゃんと授業受けろよー!と余分なことを言って解散。
その後クラスの知り合いから瀬戸内と似たようなことを何度か言われた。
いやだから、昨日は一日中シエスタしてたんだけど…。
僕がおかしくなったのか。そうなのか。
うーん。解せぬ。


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